労災保険手続きガイド

労災保険とはどのような性質の保険なのか

労災保険とは社会保険のひとつです。社会保険には健康保険や厚生年金保険、雇用保険などがありますが、労働災害が起きた場合に会社に代わって労働者への賠償、生活保障をしてくれるのが労災保険です。仕事中の事故で大怪我を負ったりすると、その治療費や働けない期間の収入の喪失により労働者は苦しい状況に陥ります。また、その損害を会社が賠償する場合も重い負担となって経営を圧迫します。この両者を救済するために設けられた公的な保険が労災保険なのです。

労働災害によって労働者が損害を受けると企業には賠償責任が発生します。労災保険はこの賠償を肩代わりするという性質のものです。労災保険は労働者のためのものという印象が強いですが、実は企業の負担を大きく軽減する性格の保険であることがわかります。

こうした保険の性格から労災保険に加入するのは労働者ではなく企業になります。企業は労働者に支払う総賃金に一定の率をかけた保険料を支払って労災保険に加入します。すると、万が一労災が起きても企業はその損害を100%補償する義務を免れます。労働者側も企業の責任を立証する必要なく速やかに補償が行われるので困窮することがありません。

逆に労災保険に未加入のまま労災が起きて被害が出ても、労働者は補償を受けることができます。労働者を雇用して営業する限り、企業には労災保険に加入する義務があり、もし未加入時の労災で補償が支払われれば、その企業は補償額の100%または40%を徴収されることになります。